もっと知りたい時計の話 Vol.94

さまざまな時計、その素晴らしい機能や仕組み、その時計が生まれた歴史、時計が測る時間、この世界の時間などについて、もっと知って楽しんで頂きたい。 日新堂のそんな想いを込めてお届けするのがこの「もっと知りたい、時計の話」です。

時計の世界で毎年春に開かれる一大イベントが、「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ(WWG)」です。2026年は4月14日(火)〜20日(月)に、ジュネーブ空港近くの見本市会場「パレクスポ」と市内各所で開催されました。「ロレックス」「カルティエ」「パテック フィリップ」「シャネル」「エルメス」、日本からは「グランドセイコー」など、過去最多となる65ブランドが参加。今回は「オーデマ ピゲ」の復帰や、日本の「クレドール」初出展も話題となり、1週間で約6万人が来場しました。 (今年のWWGを取材し、どのように感じたかをお伝えします)


春のジュネーブは湿度も低くとても爽やかな気候です。

今年の特長は、単なる時計の「新作発表の場」から、ジュネーブの美しい春を満喫しながら楽しめる、街全体を巻き込んだ一大観光イベントになったこと。これまでなかった新しいプログラムが加わり、時計好きはもちろん、そうでなくても楽しめる催しがこの期間中に会場やジュネーブ市内各所で行われました。

まず音楽ファンに人気だったのが、レマン湖畔に期間限定で設けられた「モントルー・ジャズ・クラブ」のステージ(有料・予約制)です。毎日17時〜23時にライブ演奏やトップDJのパフォーマンスが行われ、アルコールやスナックを片手に楽しめました。


「モントルー・ジャズ・クラブ」のバーエリア。夕方から音楽好きの大人たちで大賑わいでした。

そして時計好きにうれしい企画が、4月16日(木)にブティック街で行われた「ノクターン」です。各ブランドのブティックが営業時間を延長し、ドリンクや軽食を提供。時計師の実演や、普段は見られない稀少なアーカイブピースの展示も行われました。若者や家族連れが気軽に立ち寄り、シャンパングラスを片手に最新モデルを手に取って語り合う——ジュネーブの“開かれた時計文化”を象徴する光景でした。

またパレクスポ会場内では、子ども向けに時計をやさしく紹介する特別展示が今年初めて設けられました。会場では、子どもたちが楽しみながら「時計のしくみ」を学ぶ姿も見られました。


会場内の「時計のお勉強」ブース。白衣を着て解説しているのは時計学校の生徒たち。

さらに今年、会場内に新設された「Wake Up!」カフェでは、大人から子どもまで参加できる「時計組立教室」や「彫金体験」など時計作りを体験できるプログラムや、名シェフのダニー・ケザール氏による限定スイーツが味わえるなど、これまでなかった“だれもが楽しめる”プログラムも登場しています。

加えてこの期間に市内で同時に行われる時計展示会も、時計愛好家には見逃せないイベントのひとつ。なかでも特におすすめしたいのが、このコラムでも前にご紹介したどんなブランドよりも自由でクリエイティブな時計作りをリードしてきた時計師集団「独立時計師アカデミー(AHCI)」の展示会「マスター・オブ・オルロジュリ」です。ここには世界各国から伝説の独立時計師から新進気鋭の独立時計師が新作を展示して、訪れた時計愛好家と直接交流することができます。


独立時計師コンスタンチン・チャイキンと最新作「ThinKing」。ケース厚はわずか1.65mm。チャイキンらしいファニーフェイスの機械式時計です。

この春のジュネーブは気候も爽やか。来春、スイス旅行をお考えの方は、ぜひその中にWWGを組み込んでみてはどうでしょう。